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菜っぱは身体に良い?悪い?

1.はじめに
ホウレンソウやコマツナなどの菜っぱ類は緑黄色野菜に分類され,からだによい食品として知られています。しかし、最近、硝酸を多く含んだ野菜が健康を脅かしているとの指摘(河野、2000)もあり、消費者の不安を煽るような報道がされることもあります。実際のところはどうなのでしょうか? 野菜の摂りすぎは健康に悪いのでしょうか? 
 今回は、野菜に含まれる体によい成分を「薬」、悪い成分を「毒」として考えたとき、菜っぱ類の「薬」と「毒」について考えてみましょう。

2.野菜に含まれる「薬」
 野菜に含まれるビタミン類などの成分は、比較的強い精神的・肉体的ストレスによって、私たちの体内に発生し、ガンなどの病気のもととなると考えられている活性酸素という物質を無毒化してくれることがわかっています。したがって、ここではビタミン類などの成分をかりに「薬」と考えることにしましょう。

3.野菜に含まれる「毒」
 菜っぱ類に含まれる最も一般的な「毒」の成分は硝酸です。とはいってもこの硝酸という物質、最も一般的な肥料の成分で、野菜の生育にはなくてはならない成分なのです。しかし,人間にとって、硝酸の摂りすぎは呼吸障害(欧米では乳幼児に裏ごししたホウレンソウを離乳食として与えた結果、赤ん坊が真っ青になり30分もしないうちに死に至ったことからブルーベビー事件として知られている)を起こしたり、硝酸が肉や魚の焦げの成分のアミン類と結合して強い発ガン性物質であるニトロソアミンを生成し、ガンを誘発することが知られています.世界保健機構(WHO)によると、硝酸摂取による人間の単独致死量4gとされています。また、1日の許容摂取量は体重1kg当たり3.7mgとされており、体重50kgの女性なら185mgが上限ということななります。ところで、人間が口から摂取する硝酸はおもに飲料水と野菜からであることが知られていますが、イギリスでは飲料水70%、野菜21%(イギリス農業政策研究会の調査より)なのに対して、日本では87.6%が野菜からの摂取であることが知られています(山下、2002)。このように、日本人の硝酸摂取量のほとんどが野菜からなのです。
 それでは、野菜にはどれくらいの硝酸が含まれるのでしょうか。一般的には東京都の過去の調査データでは,チンゲンサイで新鮮重(F.W.)100g当たり1.6g含まれていた事例も認められています。これは、チンゲンサイの一般的な硝酸含有量が0.37g/100g F.W.であることからするとかなり特殊な事例ですが、希にですが栽培条件によってはこのようなこともあり得るということを示しています。仮に1.6g/100g F.W.の硝酸を含んだチンゲンサイを3株(1株100gとして)食べただけで4.8gと軽く先ほど示した単独致死量の4gを越えてしまいます。一度に300gも食べることはないでしょうから、野菜を食べて硝酸の急性毒で死ぬことはまずないでしょうが、許容摂取量を超えた摂取は慢性毒による害も考えられますし、毎日食べたい野菜だからこそ硝酸濃度が一定基準値の以下のものを食べたいものです。平成10年には国会(衆議院)野菜の硝酸塩汚染に関して取り上げられた経緯もあり(http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/
0/72f0934521dd526e492565f30027d914?OpenDocument
)、日本でも野菜の硝酸濃度の上限値を300mg/100g F.W.とする動きがありました(山下ら、2002)。しかし、2007年の現在そのような動きはありません。「今まで食べてきて問題がないので、大丈夫」というのが、その理由のようです。硝酸の有害性が科学的に十分に証明されたわけでもないので何とも言えませんが、私には「欧州では消費者よりの行政」「日本では生産者よりの行政」が行われているように感じます。

4.「薬」と「毒」とで考える菜っぱの品質
 菜っぱの「毒」と「薬」を多い、少ないの2つの見方から分類すると図のように4つのタイプに分類できます。最も理想の品質はDのタイプです。このタイプは、適正な施肥管理と十分な光合成が行われることで得られる品質と考えられます。

5.どうしたら安全な野菜を手に入れることができるの?
 野菜の品質は、一般的に葉の色が濃く、葉柄の割合が少ないものがよいなどといわれていますが、必ずしもDのタイプになるとは限りません。見た目は非常によくても、AやBのタイプに属することがよくあります。「毒」の少ない安全な野菜を入手するには、直接菜っぱの硝酸濃度を検査済みのもの購入するか、消費者のみなさんが栽培方法と品質との関係を理解していただき、生産者から詳細な栽培履歴を聞くことによって品質の判断をしていただく他ありません。こういった点からも生産者と消費者との距離が小さくなることは重要です。

6.Jagronsにおける取り組み
 現在、私たちJagronsのメンバーは、これまでの一般的な概念にとらわれず、いろいろな栽培方法と菜っぱの品質との関係を明らかにし、「薬」が多くて「毒」が少なくかつおいしい高品質野菜の栽培方法について研究し、技術開発に取り組んできました。そして、この度、ビタミンCが多くで硝酸の少ないホウレンソウの生産に成功しました。また、お客様に自信を持っておいしいホウレンソウをお届けするために、出荷前のホウレンソウの葉柄基部の糖度を測定し、一定基準をクリアしたものだけを直接お客様にお届けするサービスを開始しました。安全でこれまで以上においしい国内野菜を安心と一緒にご提供すること。それがJagronsの願いです。


参考文献
河野武平.2000.野菜が糖尿病をひきおこす!?.宝島社新書.
山下市二.2002.野菜の硝酸.食品衛生学会誌.43:12-15.

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2007年03月08日 03:05に投稿されたエントリーのページです。

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