移植栽培ほうれん草生産の事業化の鍵になるのが出荷先。私が、ほうれん草を売り始めてから、市場出荷、農協出荷、スーパー出荷、料亭、レストラン、一般のご家庭、ホテル、ゴルフ場など、色々な販売先の開拓に努めてきました。その中で、ほうれん草作りの作業が、@お客様のためになるものと、Aお客様に買っていただくためのものの2つに分けて考えることが出来ることに気が付きました。前者はもちろん、新鮮で、おいしくて、栄養価に優れることなどです。そして、後者は、見た目、パッケージ、この2つがすべてです。後者の場合、収穫から、お客様へ届く日数が長くなりがちなことから、日持ちするための様々な配慮も必要です。
先日、数人のスタッフで収穫をし、調整作業を行いました。収穫はすんなり進めることが出来ましたが、この調整作業、もう、うんざりしました。入れにくい袋、必要以上に細かいサイズ分け、本数の規定など、多くの条件をクリアしなければなりません。それに、資材費や手数料などが結構引かれます。朝1時間ほどで収穫したものの調整作業が、夜遅くまでかかってしまったときには、正直もうほうれん草を作る気がしなくなりました。みんなが疲れました。そして、自分は何のために誰のためにこんなことをしてるんだろうと自問自答しました。
空梅雨の北東北の月あかりの下、家のすぐ外にはホタルが数匹飛んでいます。そのうちの一匹が私の前をすーっと通りかかりました。私の道先案内人をしてくれるように。思わず手を伸ばすと蛍が簡単に手のひらに乗りました。手のひらで蛍が光ってます。そのホタルの一点は暖かく感じます。そのとき私は決心しました、一つのことに集中しよう。私がすべきこと、それはお客様に喜んでもらえる(お客様のためになる)ほうれん草生産です。私は、自分が作って美しいと思うほうれん草を作ります。そうすると既存の土俵では勝負になりませんから、自分の土俵を築かなければなりません。自分の土俵、それがすなわち生産小売業なのです。
この実現にはある程度の時間を要しますので、とりあえずお客様に近づく第一歩として、スーパーに直接出荷する販路でいってみようと考え、以前大変お世話になった、和歌山資本の大きなスーパーのバイヤーさんにお願いしてみました。そしたら、以前お世話になった津市内の店舗で夏のほうれん草も試していただけることになりました。一般的な販路ですと、収穫してからお客様に届くまでコールドチェーンで4〜5日くらいかかることもあると思います。それが、今回のルートですと、収穫した翌日の午後には店舗に並ぶことになります。ちょっと形は悪いけど必ずお客様が喜んでくれるはず、私にはそんな自信があります。まだ生産小売業は、軌道に乗っておりませんが、私のほうれん草とお客様との距離を縮めることにご協力いただいたスーパー様には大変感謝しております。29日(金)に三重県津市内の大型スーパー(24時間営業)で秋田県産のほうれん草を見かけたらならば、それはジャグロンズほうれん草です。ハウス栽培ですが、移植栽培により減農薬生産(BT剤1回のみ使用)をしたものですので安心してご賞味ください。
これからは、もっともっとお客様のためになるほうれん草生産に取り組む覚悟です。皆様のご理解とご協力を頂けたら幸いです。
ジャグロンズ 代表 藤原隆広
※BT剤:アオムシ(チョウやガ(鱗翅目)の幼虫)以外の生物には全く毒性を持たない農薬です。
※一般的なほうれん草栽培(直播栽培)では、除草剤の使用が必須で、このほかに2〜3回の農薬散布を行います。
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