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「お米の粒が小さい気がするのはどうしてかなぁー。」

●先日、友人から完全無農薬栽培コシヒカリ名付けて「スピナチ・ガーデン・ライス」を食べた息子さん(少年)の感想が届きました。少年曰く
「これは塩むすび(おにぎり)にして食べるのが一番美味しいと思う。」とのこと。このお言葉は大変光栄です。また、「お米の粒が小さい気がするのはどうしてかなぁー。」とのこと。 そうなんです。スピナチ・ガーデン・ライスは、ちょと小粒なのが特徴なのです。そのわけを少し詳しく解説すると次の3つのようになります。
@完全無農薬栽培の他に化学肥料も使っていないためです。通常は、稲の花が咲いた後に、化学肥料で追肥(肥料をあげること)をします。これによって、稲穂の生育が促進され収量が上がるのです。
A収穫のタイミングをやや早くしたこと。収穫を遅くするともっと粒が大きく、歩留まりが高くなる(小米が少なくなる)可能性がありますが、少し早めに収穫すると歩留まりが低くなるものの米の味が美味しいと言われています。ここで言う小米とは、籾摺りの際に、別の袋に選別される未熟米のことで、家畜の餌などに使われる米のことです。
B上白モードで精米したこと。玄米を白米と米糠に分ける行程を精米と言いますが、精米は、玄米の表面を削る事なのです。上白モードは、表面を削る度合いが最も高く、したがって、米粒がより小さくなるのです。籾摺りや精米については、http://www.jagrons.com/archives/2007/09/post_128.htmlをご参照ください。
●米粒を大きくする収量重視の栽培管理は、食味が劣る事が分かっています。しかし、通常、米の生産者価格は一定ですので、味よりも収量を重視した栽培方法が収益性の面で合理的なため、@〜Bでは、米粒を大きくする管理をします。これに対して、スピナチ・ガーデン・ライスは、味を良くするために、収量を犠牲にしてまでも一般の栽培方法とは全く反対の管理をして作りあげました。
●コシヒカリは今から約50年前に誕生した品種ですが、本来の姿は米粒が小さい品種です。尾瀬湿原のミズバショウを知ってますか?本来は小さな花を咲かせます。ところが、最近は水質の富栄養化によって、ミズバショウが巨大になる現象が見られるようですね。これに似たようなところがあります。
●もし、あなたが生産者で、米の売り先が農協さんのような業者で、米の価格が一定だったらどうしますか?味優先?それとも収量優先?今の一般的な流通の現状では、生産者は収量を優先するしか利益を上げるすべがないのです。「そこそこの品質の農産物を大量に扱う」これがJAのような組織による現在の日本の主流のスタイルです。
●たぶん、お客さんが、美味しいお米を高く買ってくれることが分かれば、生産者は、収量を犠牲にして美味しいお米を作ることでも利益を増やすことが出来ると思います。生産者とお客さんとの距離をもっと近づけることで、日本の食糧流通の現状を打破したい。これもジャグロンズの使命だと考えてます。
●長くなりましたが、もし、少年に分かり易く説明するとしたら「もともと美味しいお米として作られたコシヒカリという品種は、米粒が小さい品種だったんだよ。だけど、農家の人が沢山収穫するために肥料を多めにやるので、米粒がでかくなって、それが普通だと思われるようになったんだ。だから、美味しいお米の作り方をすると、本来のやや小さめの米粒になるんだよ」とでもなるのでしょうか。
●少年の素朴な疑問に端を発した今回の記事、私自身、これまでの知識や情報をまとめる良い機会となりました。少年よ、ありがとう。

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2007年09月18日 20:32に投稿されたエントリーのページです。

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