Jagrons 農業技術を追求しおいしさと健康と文化を創造する


言霊(ことだま)


●「整理・整頓・清掃・清潔・躾」。製造業では当たり前に知られている「5S」である。これは日々の生活を充実させる上でも大いに役に立つ考え方である。私はこれを完璧に身につけたいと思う。そこで、家に張り紙をした(写真参照)。これを見た人は、大別して2通りの反応を示す。一つは、「これはそんな意味があるのか参考になるなあ」といった反応、そしてもう一つは、「こんなの張ったって、全然整理整頓できてないじゃないか」といった反応。後者のように言ってしまったのでは、何も進歩がない。私自身この5Sが、出来ていないからこれを自分のものにしたいと思うのであって、これが出来ている人はこんなことを張る必要がないであろう。現状を改善するには、「意識する」ことが重要なように思う。何かの本に、「言葉には言霊という魂が宿っていて、良いことを言葉に表していると良いことが起こるし、悪いことばっかり心配したり口にしていると本当に運も悪くなる」とかいてあった。朝起きて、この張り紙を見ると、無意識のうちにこの5Sが意識されるようになると感じている。これを張ったことによって、少しずつであるが、私の生活も改善されてきているように思う。言霊というものがあるのかもしれない。
●この5S、同じ物づくり産業である農業の現場では、全く見かけたことがない。農業にとっても非常に有益な考え方だと思うのだがどうしてなのだろうか。そんなの昔からないと言ってしまえばそれまでだが、生産が組織的に行われていないことも、このような考えが浸透しない原因の一つかもしれない。「晴耕雨読」という言葉があるが、農業は天候に左右されるといった特徴がある。一方で、何でも天候のせいにするといった甘えもこの産業にはあるような気がする。農業試験場等で開発された農業技術があっても、それが十分に活用されていないのである。よく自然災害で農作物が被害を受けたとの報道に接することがあるが、実は天災半分、人災半分なのではないかと思うことがある。天候に左右されるなりにその影響を最小限に止める工夫が必要である。感覚でやる農業には限界があるし、その技能は伝達されにくいものだと思う。私は、数字というものを駆使して、「日本の農業技術文化」の継承の一助となる活動を続けていきたいと考えている。
●先日、ある有力者の方とお話しする機会があった。農業分野にはあまり関係ない方だったので、私の話をすると、「それは大変だ、一次産業とベンチャーの2つはビジネスとして一番危険な分野だ」とおっしゃられたのを覚えている。これも一般的で妥当なものの見方であろう。しかし、それでは良いわけがない。人間は何を食べて生きていくのか?一次産業なくして、国が成り立つのだろうか?そんなわけはない。農業をビジネスとして考えた場合、「農業では食っていけない」とか、この手の「負の言霊」が、現場で働く多くの当事者に影響を及ぼしているような気がする。
●これからは、アグリビジネスの時代だ。高度な技術を駆使しながらも、その生産システムを単純化して、良質の農産物を安定的に生産する時代が来る。そして、消費者と生産者との距離がぐっと近くなり物流も変わるであろう。農業は国が成り立つためにはなくてはならないものである。「正の言霊」の力を信じて、来年もジャグロンズの活動を継続・発展させて行きたいと考えている。

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2007年12月30日 20:56に投稿されたエントリーのページです。

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