ほうれん草に含まれる好ましくない成分として、蓚(シュウ)酸と硝(ショウ)酸が知られています。今回は、この二つの成分についてまとめてみました。また、最近知り得た知見も付け加えてみました。
●硝酸:肥料の主要成分であり、全ての植物の体内に含まれている。植物にとっては、人間にとってのお肉(タンパク質)の様なものであり、必須の成分である。しかし、この硝酸を人間が摂りすぎることで、乳幼児のメトヘモグロビン血症による急性中毒が知られるほか、ガンや糖尿病にも間接的に影響しているとの説もある。この硝酸は特に葉菜類に多く含まれており、肥料のやり方等の栽培管理によって含有量が大きく変動する成分でもある。最近の学会報告(園芸学会)では、吸肥力(肥料を吸収する力)が強い小松菜やチンゲンサイなどのアブラナ科植物が比較的多く含まれることが知られている。私が研究所時代に調べた結果、同じ栽培条件でもコマツナにはほうれん草の2倍以上の硝酸が含まれていたことが強く記憶に残っている。
●蓚(シュウ)酸:植物体内で作られる有機酸の一つで、体内のカルシウムと結びついて結石になることが知られている。この成分は、全ての野菜にあるものではなく(コマツナなどのアブラナ科野菜には含まれないことが知られています。)、ほうれん草やモロヘイヤなどに含まれることが知られている。(野菜の他には、緑茶、紅茶、コーヒー、チョコレートなどにも含まれています)。尿道結石は、女性よりも尿管の長い男性に良く見受けられる症状のようですが、蓚酸を食べても、結石にならない方法が、栄養学の分野の学会で発表されているようです。その方法は、食べた蓚酸を、尿でなく大便で排泄すること。蓚酸はそのままでは小腸から吸収され、血液の中のカルシウムイオンと結合して蓚酸カルシウム(石)になることが知られていますが。小腸から吸収される前に、カルシウムと結びついた蓚酸カルシウムの状態であれば小腸からの吸収が出来なくなり、大便で排泄されることになります。蓚酸を含んだほうれん草などの野菜を食べる際には、牛乳やヨーグルト、それに、小魚や、チーズ、鰹節などのカルシウムを多く含むものと一緒に食べることで、蓚酸の小腸からの吸収を防ぐことが出来ると考えられています。
●ほうれん草の品質について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
http://www.jagrons.com/archives/2007/04/post_34.html
http://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/4/3/4_347/_article/-char/ja/
http://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/4/3/347/_pdf/-char/ja/
●先日、地元の国立大学の医学部の先生(整形外科)から、興味深いお話しを聞くことが出来ました。
二分脊椎(http://www.nibunsekitsui.jp/symptom/index.html)という、生まれつきの病気が、妊娠前後の女性が、葉酸を1日0.4mg摂取することで、その発生率を70%低下させることが出来ることが最近の研究で分かったそうです。ほうれん草にも葉酸が多く含まれていますので、新しい生命を宿すことの出来る女性のみなさんには、是非とも積極的にほうれん草を食べていただきたいと思います。
★ジャグロンズのほうれん草、「ゴールデン」タイプは、ほうれん草の硝酸含量の規制値が世界で一番厳しいとされる、EU(オランダ)の基準 3000ppm以下(100g中に300mg以下の含有量)を余裕でクリアしております。昨年の調査結果では0〜500ppmでした。甘いだけじゃないジャグロンズのほうれん草を今後とも安心して召し上がっていただけたらと思います。