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★6月中旬、スピナチガーデン美郷拠点第3圃場(北明田地圃場)で、奇妙な現象が、観察されました。圃場のある部分だけ、ほうれん草が枯れもせず大きくなりもせず、最後に抽だい(花が出てくる)して開花してしまうのです。★大きくなりながら、花が咲くのは、もしかしたら、球場のナイターの光りによる光害(暗期中断による花芽形成誘導と花芽生育の促進)とも考えましたが、植物が大きくならないのは、そのためではありません。★もしや、と考え、土壌酸度(pH)を測定しました。はじめは簡易型のpH測定器で診断しましたが、結局、高精度で測定できる電極型のpH計測器を導入し、圃場の数カ所の土を調べたところ、pHが5.2のところから、6.2程度のところまで、土壌のpH「むら」があることが分かりました。ほうれん草はpH5.5以下になると極端に根の発育が抑制されることが知られています。特に生育の悪かったpH5.2のところには消石灰を400kg/10a、pH6.2のところには、200kg/10aを散布し2週間程度ねかしておくことで土壌のpHを中和し、pH6.5近くまで土壌酸度を改善する事が出来ました。★ここの土は、第一圃場と同様に火山灰性の黒色土壌(黒ぼく土壌)で、畑作には最適の土ですが、土壌が酸性であることとリン酸吸収計数が高い(これが高いと土中のリンを作物が吸収できない状態になります)と言った特性があり、この2点を改善することでそこの畑の潜在能力を最大限に引き出すことが出来るのです。農学(土壌肥料学)の基本ですが、ちょっと基本事項を調べることを怠っていました。その後の第3圃場のほうれん草は、第一圃場と同様にすくすくと育っています。