●今日、久しぶりに、古巣の研究室に立ち寄った。私が新人研究員時代からの先輩にほうれん草収穫の機械化についての情報を得るのが目的である。しかし何となく、先輩に元気がない。会話のキャッチボールの中で感じるのは、正直、閉塞感である。もし、先輩が経営者だったら、私は間違いなく距離を置くだろう。一緒にいてワクワクしない経営者とは良好な関係は築けないと考えるからである。
●先輩はこれから、日本の農業を考える上で大きな役割を果たすべき業務用野菜チームの責任者となる身分である。今後、以下の3つを意識して職務に当たって欲しいと思う。
☆人の意見を自分にあわせさせるのではなく、共感を得るように自分の考えを提案しそれを受け入れてもらうよう努力すること。
☆答えを導き出す方法は一つではない、相手の出来ない理由を指摘するよりも、どうしたら目標を達成できるかを考え、ともに知恵を出してもらえるような環境を作ること。
☆チームの力を引き出すのは「強引な理屈」ではない。「強いハート」である。トップダウンではなく、やる気のある人間を最大限に尊重したチーム作りに心がけて欲しい。
●以上が、チーム「ジャグロンズ」の代表として、数年間「チーム長」を経験してきた「先輩」としての私からの、先輩へのエールである。現在の先輩のポジションは、私からするとかなり大きな仕事を出来る立場にあるし、時代に乗った魅力的な成果を挙げることが出来ると思う。もし、その機能が十分に果たせないのであれば、組織としての価値は無いものとなる。
●現場活用型の研究の場合、研究所内には、あまり大きなヒントは落ちていない。大きなヒントは生産現場にある。是非、スタッフのメンバーが気軽に生産現場に飛び込んでこられる環境を作って頂きたいと思う。ただし、「評論家」としてではなく「共に未来の農業を作ってゆくパートナー」として飛び込んできて欲しい。
●もしそのような環境が実現できなければ、組織はなくなる。そのときは、私たちに私たちジャグロンズの出番である。私たちには民間の企業としてその役割を果たす準備は出来ている。チームの皆さんには民間企業にその役割を譲るようなことがないよう、気概を持って職務に当たっていただきたいと思う。
●以上、歯に衣着せぬ「出来の悪い後輩」からの先輩へのエールである。生活環境が変わるので、決してお酒だけは飲み過ぎずに(虎にならないように)、お体に気をつけてがんばってください。