●「無理が通れば道理が引っ込む」とは、「道理に外れた事が世の中で平気で行われれば、正しいことが行われなくなる。」とのこと。 世の中にはいろんなことが平気で行われている。何でこんなにおかしいことが成立するのかということも、長年続いていればそれはおかしいことではなく、それは当たり前の「常識」となり「不便だが仕方がない」と思うようになってしまう。
●営利団体が、対価を正当に受け取らずに無料で奉仕するような場合があることを知人に聞いたことがある。それはどういうことだろう、物事にはすべて動機がある。営利団体が、公的機関の代わりの役割を果たす場合の動機のひとつ。それは権力である。「タダ」ほど高いものはない。営利団体が、営利を正当に得ない活動は危険である。もっとも、それは公的機関が、その役割を投げ出してしまうことにも原因があり、それでは公的機関の存在意義がなくなる。
●15年前の出来事、ある農機具メーカーの部長さんが、生産現場で野菜の機械化実演でとった行動を思い出した。担当者であるJAの課長さんに対して、苗の状態が悪いことを怒鳴りつけた事件を思い出す。その後、課長さんはすぐに取引先の機械メーカーを替えたことは言うまでもない。いくら当時技術的に独占的優位にあった会社といえ、お客さんであるJAの要職にある人をしかりつけるのは、筋は通っているかもしれないが道理に合わない。そして、もうひとつの出来事、この前、知人から「自分が客であるにもかかわらず、取引先の担当者から筋が通らないとお叱りを受け、納得いかないことにぺこぺこして非常に疲れた」との話を聞いた。世の中、「声が大きいだけの人の意見」が通ったり、「無理やり筋を主張する人の意見」が通ったりすることは日常茶飯事。それは公共的視点から決して許されるべきではない。
●営利団体が、フェアーなサービスによる営利を求めず、権力による婉曲的な営利を手に入れることがあったとしたらそれは大きな社会問題だ。それは道理に外れることである。筋というものは通せばなんぼでも通る。もうすぐ、参議院選挙、政治家には、どこへ行っても通用する道理で世の中が良くなるような時代を作ってほしいものである。
●私たちジャグロンズも、微力ではあるが、全国の農業生産法人の仲間とともに農業生産を軸とした経営的自立を果たすことで、日本の農業を本当の産業として自立したものにしてゆきたいと考えている。正直なところ、私たちは、秋田だからとか三重だからとか、あんまり興味はない。私たちは、「メイド・イン・ジャパン」の農作物を作りたいだけである。それは、「筋」よりも「道理」を優先するものづくりでもある。