●先日、「将来農業をやりたいと考えているが、今、研修している農業生産法人では、仕事が単調で過酷なので将来が不安、是非ジャグロンズの農業についてお話を聞きたい。」と、知り合いのつてをたどって、大学を卒業したばかりの若者がやってきた。若者が農業に関心を持つのは大歓迎だから、喜んで対応させてもらったが、準備不足のため、的確な説明ができなかったと反省している。
●そこで、今回のような要望に広くお答えするために、文章として自分の考えを整理してみた。
◆まず、農業研修の本質はどうあるべきなのか。
◆研修とは、「職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること。また、そのために行われる講習。」とある。研修の目的を達成するには、第1に研修生の質、第2に研修制度の質、この二つが重要であると考える。
◆研修生の質とは、@モチベーション(やる気)、A質問力、B理解力、C模倣力、D雛形抽出力、E継続力(忍耐力)、F実行力のように、その人の性格や本来の能力に関わるものの他に、G専門知識(予備知識)の有無や、Hそれまでの仕事のキャリア、I年齢などがあげられる。
◆研修制度の質とは、本来あるべき事業活動を円滑に行っている現場で行われることが重要であり、その中で、どれだけ多くの「気づき」を与えられるかが重要であると考えている。研修現場としての職場は、学費を払って勉強する学校とは違う、まねをすることから転じた「学ぶ」という行為を第1に考えてもらってはいけない。仕事を覚えることは勿論のこと、その次のステップである「気づいて考える」習慣を身につけてこそ、初めて研修制度の意味があると考えるのである。ここ数回に分けて、これまで経験したり考えてきた農業研修というものについてまとめて見ることにする。