◆同じ目的の機体を複数(2台以上)備えて仕事に望むダブルヘッド・システム。それがジャグロンズ流のやり方だ。しかしここ数日間、2台のフォークリフト両方が動かなくなってしまった。
◆2台のうち1台はいすゞのジーセルエンジンを搭載した機体。もうひとつは、日産のガソリンエンジンを搭載した機体。前者は、セルモーターが動くのにエンジンがかからない。後者は、エンジンがかかっても急激なバッテリー消耗により15分くらいでにエンジンが停止してしまう症状。
◆メカニックメンテナンスの師匠、大坂さんに相談したところすごい人がいるので電話してみろと紹介されたのが「電気屋小松の小松さん」。大仙市の豊川というところで民生委員や田んぼ2haを一人でこなしているスーパーマンのような人で、電話して翌日のかなり早朝、早速現場に来ていただいた。
◆日産ガソリンエンジン搭載機の問題点は明らかに電装系。小松さんは魔法の道具であっという間に電気の流れを把握、そして、部品を外して持ち帰っていってしまった。
◆4月28日、昼過ぎ、軽バンの専用車で小松さんが現れた。ちょうど時を同じく師匠の大坂さんが現場到着(ジーゼルエンジンの燃料ポンプを疑い、診断を依頼していた)、二人が鉢合わせになった。
◆先ずは、日産ガソリンエンジン搭載機の伝送系について、小松さんの説明は単純に2ポイント、①オルタネーター(発電機)のコンデンサ(交流を直流に変える部品)の故障。もうひとつは、②充電が12ボルト以上になるとスイッチがオフになる部品(名前を忘れたが、ここでは電装ボックスと表記する)の故障だ。
◆オルタネーターについては、コンデンサを取り替えてもらったものを装着、電装ボックスについては、汎用品を改良して作っていただいたものを装着。そしてエンジンキーを「ターンON」、「ブロー~~ん」、「動いた!!」。しかし、小松さんは妥協しない。入念にその状態をチェックするが、どうも納得いかない様子。カーボンが減っていないのにうまく発電されていないということで、オルタネーターの軸が壊れていると判断された。この機体の完治は次回持越しとなった。
◆同時並行で、大坂さんと私は、いすゞジーゼルエンジンの噴射ポンプをチェック、燃料が内燃機関まで到着していることを確認、セルモーターも快調だ。しかしエンジンはかからない。最後に疑われるのは、グロープラグの故障。バッテリー不良のとき24Vがけをした前歴と照らし合わせると納得のいく診断だ。これは、機械の専門ではなく電気の専門家の領域だ。
◆ここでこの機体の治療も、ちょうど、後ろでもう一台の機体の治療に当たっていた小松さんにバトンタッチされることに。「いやあ~、こっそり帰ろうとしていたのにな~」と小松さん。大坂さんのバッター交代指名を快く引き受けてくれた。さらに、ラッキーなことに、いすゞのグロープラグを持ち合わせているという。カーボンがたっぷり絡んだ4本のグロープラグの取り外しは難航したが、小松さんの技術によって無事終了。1本のプラグが破裂状態であった。そして、いよいよエンジンキー「ターンON」。代打「小松」のさよなら逆転ホームランとなった。
◆12Vの機体を24Vがけするときは、セルスタートの一瞬だけでやらなければいけない。グローを24Vでやると今回のようにプラグが逝かれてしまう。「グローは12Vで、24Vはセル回転の一瞬だけで」これが小松さんの教えである。
◆すごすぎる、自分の技術を惜しげもなく、人に教えてくれるこのスタイル。もう引退も考えているとおっしゃるが、きっとトップレベルの技術者だ。これまでの時代の電装系の機械修理では最前線を走ってきた人に違いない。
◆クラシック車両を愛用する私にとって、この人を師匠と呼ばずに誰を師匠と呼べるだろう。私は、これから、小松さんを師匠と呼ばせていただく。
◆今日は、「大坂師匠」と「小松師匠」の2人から陶酔を受けたすばらしい日になった。そしてまさに師匠のダブルヘッドシステムの出来上がり、もうひとつのジャグロンズ流誕生の瞬間である。
◆「大坂師匠」と「小松師匠」、本日はありがとうございました。
20180428JagronsTF
☆↑カーボンたっぷりのグロープラグ。4本のうちの一つがかなり逝かれていた。
☆↑新品のカーボンプラグ。交換後、きわめて順調にエンジンが始動したのは言うまでもない。