※「そこまでやるのかヒヨドリ君」のタイトルを変えて投稿しています。

◆ジャグロンズの直営農場、ファーム*ジャグロンズ安濃津農園の周辺にはいろんな鳥がやってくる。トビ(鳶)、ハヤブサ(隼)、キジ(雉)、カラス(烏)、セキレイ(鶺鴒)、ツグミ(鶫)、モズ(百舌鳥)、ムクドリ(椋鳥)、そしてヒヨドリ(鵯)など。ほうれん草作りに取り組む私たちにとって最も身近な鳥はヒヨドリだ。

◆ヒヨドリとのかかわりは、私を哲学者に変える。☆ヒヨドリは、一瞬にして美味しくなったほうれん草をぼろぼろになるまで食い尽くす餓鬼の化身。☆ヒヨドリは、恐れを知らぬ愚か者。☆ヒヨドリは、まともに相手したら時間が幾らあっても足りない手ごわい奴。☆ヒヨドリは、おいしいほうれん草を誰よりも早く見分けることのできるほうれん草ソムリエ。☆ヒヨドリはほっぺが赤く頭がボサボサツンツンのどこか私に似ている憎めない奴。☆ヒヨドリは嫌われている相手にも懐に入りこんでいつの間にかかわいがられる不思議な鳥。☆ヒヨドリは、ジャグロンズ直営農場ファーム*ジャグロンズ安濃津農園のシンボルだ。

◆さて、13日の早朝の出来事。朝一番に出勤してきたスタッフが作業ハウスの中に鳥が入っているとの連絡をくれた。なんと前日に品質調査のために抜いてきて、ハウスにあるパレットの上に置いたほうれん草数束にヒヨドリが集まって食べまくっていたのだ。まさに、

The early bird gets the worm. いや、

The early bird gets the sweet spinach!!

◆前日の調査では、葉柄軸の糖度は8度程度であった。ヒヨドリが来るほどの甘さではないと思うのだが、、、待てよ、もしかして、、葉身の糖度は、、早速測ってみると、やっぱり10度以上ある。不思議だ、ヒヨドリは何故そのことを知りえたのだろうか?美味しいほうれん草の生産を心がける私たちにとってもはやヒヨドリは神の領域。何か特別なセンサーのようなものを身につけているに違いない。

◆自分たちの限界に挑戦し、自信を失いかけたとき、実はもっと自信を持ってやれと背中を押してくれる存在。それもヒヨドリなのだ。ヒヨドリよ!!ありがとう!!

 

◆今年はヒヨドリの数が少なく感じる。しかし、確実にほうれん草を食べている。それも美味しいほうれん草だけを。先日、珍しい現象に直面した。ここ最近の降雨に備えるため収穫してトラックごと日陰に保管しているところに、ヒヨドリがやってきて収穫後のコンテナのほうれん草を食べているのだ。どうしてこの場所を知っているのか?もしかして、ストーキング?畑からベースステーションに追跡してきたのだろうか?

◆ところで先日、取引先との連絡の中で、益荒男ほうれん草が美味しくなくなった。「甘くないほうれん草は益荒男ほうれん草ではない。」との連絡を頂いた。現在のほうれん草の糖度は、8~10度(Brix%)を目安に出荷のタイミングを慎重にナーバスになりながら出荷している(一般のほうれん草は3~5度といわれている)。お客様からのこのような声は以前からも頂いている。数値のスペックは規定の範囲内なのに食べる人の美味しさの感じ方が変わってくること、それが、益荒男ほうれん草の「3月クライシス」だ。

◆「3月クライシス」の仕組みは次の通り。益荒男ほうれん草の糖度は11月下旬から上昇し始め3月から4月にかけてフェードアウトする(イメージ図参照)。美味しいほうれん草の範疇として葉柄基部の糖度が8~11度を目安に出荷しているが、1月と2月は「美味しすぎる益荒男ほうれん草」ができてしまう。これが原因で3月クライシスが引き起こされる。12月と3月は同じ糖度9であっても、甘すぎるほうれん草を食べる前の9度と甘すぎるほうれん草を食べてしまった後の9度では、人の感じ方は全く異なるのだ。残念!!

◆この問題点の解決策は2つ、一つは、1月と2月の品質のものをあえて世の中に流通させないこと。そうすれば、12月から3月まで通して美味しいと感じてもらえるほうれん草を提供できる。そしてもう一つは、情報を的確に把握しお客様に伝えること。前者は、理屈としてはありえる話だが、非現実的である。やはり、後者がこれから積極的に取り組むべき解決策だと思う。

◆お客様目線だけでは、1年中生で食べられるアクのないほうれん草でなければならないのだろうけれどそんなのは無理だ。その時々でできる最善の技術でできたものを正当に評価してもらえるように生産現場から消費者の皆さんに直接メッセージを発信することが重要だと考える。

◆3月~4月の益荒男ほうれん草は、糖度の基準をクリアーするように努めて出荷していますが、春の野菜はアクが出てきます。オリーブ油やカルシウムを多く含んだものと一緒に食べていただきたいほうれん草です。

◆消費者の皆さん、ご理解のほど宜しくお願いします。

◆そして、来季は、12月から2月にかけて飛びっきり甘いほうれん草を作って皆さんをもっとたくさん作って驚かせたいと思います。世界で唯一つの生産技術「ジャグロンズ農法」は、有機農法でもない無農薬農法でもない、「科学的農法」の一つです。これからもHPを通して情報発信に努めます。

◆さて、今日の朝、またもや意外な出来事が起きました。またヒヨドリがらみです。次回の投稿は「そこまでやるのかヒヨドリ君」、です。皆様、お楽しみに。

 

◆3月4日に東京品川で行われたオイシックス・ラ・大地株式会社主催の「N-1サミット」という会合に参加した。そこで偶然出会ったのは、三重県明和町で有機農業を実践している「ななほし会」代表の野呂元士さんだ。野呂さんは、らでぃっしゅぼうやと取引がある生産者。今年は、通販マーケットの「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」「オイシッックス」の3ブランドが経営統合して初めての「N-1サミット」だ。全国に有機農業をはじめとするこだわりの農業を実践する日本国内の生産者約4000人の中から多くの生産者が東京品川に集まった。

◆さて、私がこの会議への参加でもっとも楽しみにしていたのが、最後の高島社長の挨拶だ、外部ではなかなか聞けないお話を判り易く明快に語ってくれる。私も経営者としての経験を増すにつれて、高島社長のやっていることの意義を理解できるようになってきた。高島社長とは親しい立場にはないので詳しいことはわからないが、私に足りない管理能力のようなものが極めて高く、淡々と経営者のなすべきことを実践されているのが魅力的だ。

◆高島社長曰く、有機農業運動の中から生まれ40年の歴史を持つ「大地を守る会」、市民運動の中から生まれ30年の歴史を持つ「らでぃっしゅぼーや」、そしてIT情報化社会の申し子として生まれ20年の歴史を積み重ねた「オイシックス」。この3つの会社の思いが、さらに大きく世の中に浸透する時代に突入している。今回の3ブランドの経営統合は、より効率的・効果的にに時代のニーズに応えて行くためのものになる。

◆私が立ち上げた、ジャパン・アグロノミスツ株式会社(通称名称:Jagrons ジャグロンズ)は、私の研究者時代の蓄積を活用すべく独自の生産技術で美味しくて安全な野菜を情報と共に提供することでわくわく感を届け、消費者の皆さんにハッピーになってもらえる野菜づくりに取り組んできた。ここで重要になることは、「良い物を作ること」と「それを伝えること」、この2つだ。前者についてはこの10年間で実現できているが、後者については、まだまだ程遠い段階だ。現在、ものづくりを辞めずに続けて来れれているのも「オイシックス」社との出会いによるところが大きい。オイシックス社が私たちの「益荒男ほうれん草」の情報をより多くの皆さんに発信してくれたことで現在がある。

◆「オイシックス社」の大きな発明は、IT情報技術の活用により「生産者の情報を伝えること」と「消費者の思いを生産者にフィードバックされること」。前者は、従来の紙媒体の通販システムでも行われてきた。しかし後者はこれまで十分に行うことができなかったことだ。

◆具体的には、「お客様の声」。「益荒男ほうれん草」へのお客様からの感想はこれまでに79件(3月7日現在)、今シーズン(2019年12月以降)に入ってからは12月8件、1月4件、2月17件、3月7日現在2件、今シーズンは、31件ものお客様の感想が寄せられている(情報元、オイシックスサイト)。その中で私が有難いと感じたのが次の2つのコメント。

☆☆☆☆☆(ピナママ様)

「感謝 生産者の方に感謝をしたくて投稿します。一歳7ヶ月になる娘は偏食が激しく緑のものは一切食べてくれなくなり途方に暮れておりました。 そんな時に藁をもすがる気持ちで購入したこちらのほうれん草は、娘がおかわりをする程気に入っており、茹でるだけの味付けなしで一握り分をペロリと食べました! 欠品を起こさずに生産してくださることに感謝です。これからも購入します。長く生産していただきたいです。」(オイシックスサイト、2019年2月22日より引用)

☆☆でかすぎよ(けい様)

「40センチ近くあるほど背が高いのが4株。 すじが固くて、甘さもいまいち。。。 小さいのがいっぱい来たときの方が抜群に美味しかったからがっかりしたー…… ほうれん草の根元のところが好きなので、小さいのがいっぱいだと根元の数が多いから嬉しいんだけどなぁ。 次回に期待!」 (オイシックスサイト、2019年1月6日より引用)

◆「オイシックス」で流通する野菜は、「お客様に評価されるか否か」、これが最も重要な要素。商社に買ってもらって売ってもらうシステムではない。お客様からの注文がなければそのシーズンの出荷量は激減する。一方、評価が高ければ、世の中のほうれん草価格の「相場」なんて全く関係なく順調な出荷量を確保できる。

◆IT技術を使ってタイムリーに生産者と消費者とをつなぐ。これが、オイシックス社の大きな発明だ。しかし、この土俵で一生産者が勝負するには、個性や主張のある商品が不可欠だ。ポリシーもスペックもない商品では、経営的に非常に厳しい結果をもたらす可能性のある土俵。いわば弱肉強食の世界でもあるのだ。

◆オイシックス社のシステムはそんな「諸刃の剣」の要素も備えていることを覚悟しなければならない。しかし、「オイシックスブランド」の生産者の立場で農業生産に取り組むということは、情報化社会の中で、「お客様の声」を羅針盤に新しい農業のあり方の最先端を実践している。そんな自負が私たちにはある。よりマニアックな情報を、当社サイトからも随時発信しながら、どんな時代になって行くのか分からないこの先も、ぶれずに、「日本のものづくり」を実践して行きたい。