農研機構の浜本浩(正式には濵本浩)さんが、13日(月曜日)に急逝した。

1960年生まれで私より10才年上。私が農林水産省に入省した25年前に安濃で出会ったのがご縁の始まりである。まだまだこれからもう一花咲かせることのできる若さであっただけに惜しい、悔しいの気持ちがこみ上げてくる。

浜本さんは野菜の栽培系研究のプロパーで、日本発祥の農業技術である、ベタがけを活用した野菜栽培研究の第一人者として、また、施設園芸における人工光を活用した、生理生態学的研究の草分けとして活躍してこられた。浜本さんの研究の成果はジャグロンズのほうれん草づくりにも活かされている。

数年前から、研究の現場から離れていたが、今年は研究の現場に復帰して、新しい希望を持って仕事に取り組み始めたばかりのときだったと聞く。

浜本さんの、親しみやすく、研究者としての柔軟性と、包容力を持った人柄は、多くの後輩研究者から慕われる存在であった。

近畿中国四国農業研究センター時代、同じ野菜部(京都府綾部市)の職員だっとき、当時研究室長の浜本さんから、うちの研究室に来ないか?と冗談半分にスカウトを受けたことを懐かしく思い出した。研究者として、先輩研究者からスカウトされるということは大変光栄なことなので嬉しかった。

昨年お会いしたときには、将来定年して自由になったら是非ともジャグロンズの特別顧問としてコンテンツづくりと情報発信のお手伝いをして下さいと、冗談交じりの本気でお願いしていたところだった。

京都府綾部時代は、家族ぐるみのおつきあいを頂いた。私の息子と浜本さんの息子さんが同い年だったことから、当時本当に良くしていただいた。

5年間の京都時代だけでなく、私が退職してジャパン・アグロノミスツという農業事業に取り組んでいるときも何度となく、津市にある職場にお邪魔して、色んな情報を提供していただいた。

今回の出来事は、私達が思う以上に、浜本さん本人自身が一番信じられないと感じていると思う。人生何があるのかわからない。

本日、参列させていただいた告別式では、15年ぶりに見る見事に立派に成長された息子さんが、人目をはばからず号泣する場面があり、私ももらい泣きしてしまった。

浜本さんが過ごした家族との濃密な時間と息子さんに注いできた愛情の深さを感じた。心からそれを感じた。お父さんの思い出を大切にしてこれからの人生を乗り切っていってほしい。

最後に、浜本さん、今日はお別れしましたが、もしかしてまた生まれ変わって会えるような気もします。その時を楽しみにしております。さようなら。

浜本浩さんのプロフィール★

農林水産省に就職後一貫して野菜の生理生態学研究に取り組む。

野菜のベタがけ栽培に関する研究で農学博士号(千葉大学)を取得。

最近はLEDなどの人工光を活用した野菜の生理生態学的研究で活躍。