◆これまでのジャグロンズのエダマメ生産における害虫防除は、背負い式動墳(動力噴霧機)が主流であった。これによりプレシジョンファーミング(PF:精密農業)の実践も可能にしてきた。これまではPFの実践により、薬剤散布量を慣行の標準散布量150L/10aに対して生育初期で1/10、開花後の生育後期では1/5に減らすことができていた。

◆一方で、これまでの方法では10aあたりの歩行距離は防除初期で600m、開花後の防除では、その倍の1200メートル、最低でも合計1800m歩く必要があった。10ha計算で、180km歩く計算になる。これは、ファーム*ジャグロンズ「兎農園」のある秋田県美郷町から、新潟市または仙台市まで歩くのに近い距離である。

◆そろそろ、イノベーションの必要に迫られた。防除の機械化にはハイクリアランスビークルが一般的だ。しかし、市販の新品では300万~500万円が相場。ジャグロンズの経済感覚では、お金がかかりすぎて「もったいないお化け」が出てしまう。農薬散布量だけでなく経費も1/6~1/10に圧縮するのがジャグロンズ流。何とかならないものか。

◆そうして、今回導入したのが、この機体。PDNSという農業機械屋さんのグループが運営するオールジャパンサイトで見つけ、ジャグロンズ流の範疇に見合った納得いける価格で購入した。購入窓口は、鹿児島の大崎機械店さん。フットワークの軽い社長の稲葉さんが、名古屋港からフェリーで仙台港まで送ってくれたので、仙台から自前の積載車で秋田まで輸送した。

◆前ユーザーは、愛知県豊橋市の農家の方だ。キノンドーという農薬を使った形跡があるのでたぶん、キャベツ農家ではなかろうか。樹脂製の赤いボンネットの色がくすんでいたので、早速赤のスプレー缶で塗装、ピカピカに輝いている。

◆この機体、一度に、幅10mの農薬散布が可能である。早速本日、本格的始動のために各部のチェックを行った。現状販売なので、不具合はお約束。こちらの望むところだ。 先ずは、薬液タンクの液量レベル表示用の透明チューブ。チューブがくすんで、全く液量が見えない状態。早速、近くのホームセンターで材料を購入して、チューブを交換。これで完璧だ。足回り等、少々のオイル漏れは、また改めて直すこととして、明日の早朝、ノズルに詰まったごみを除去して実際の圃場で薬剤散布を行う予定である。続きはまた改めて紹介させていただくことにしたい。

◆ジャグロンズ史上最もウエッティーな圃場「大仙市下深井圃場」に、ついに鴨のつがいが飛来した。「畑の一角サンクチュアリ計画」進行中だ。

◆圃場より高いところを用水が通っている「下深井圃場」。設備の老朽化により、水漏れがひどい。水がどんどん漏れてくる。「エダマメの生産」、去年は丸腰で撃沈したが今年は違う。明渠(めいきょ)を掘ったので、水も一線を越えてくることはない。

◆この圃場。暗渠が備わっているものの老朽化のため機能するかどうかは怪しいところだ。

◆高いところから漏ってくるものを止めるのは無駄な抵抗だ。素直に受け止めて、畑の一部をサンクチュアリにする計画が脳裏に浮かんだ。6月には菖蒲が咲き、通る人の心を和ませる。そして、水鳥飛来。我ながらなかなか良いアイディアだと思う。

◆畑の所有者の粟津さんも、「自分ならめげるけど、ジャグロンズは前向きすぎる」と脱帽(呆れ顔)だ。

 

◆ファーム*ジャグロンズエダマメ圃場の1つに吉ヶ沢圃場というのがある。その一角は昨年の大雨で一部土砂崩れが発生した場所だ。そして、唯一毎年ナメクジの被害が見られる畑でもある。赤色土の山土で大きな石も混ざっている。水分の状況と耕起の方法を誤ると十分な砕土率を得られないので注意が必要だ。

◆ここも過去に「やっちゃえジャグロンズ」ということで、畦を壊し上段の畑3枚を一枚にした。そして、今回、隣接する畑を譲り受けたため、下段の畑2枚を一枚にした。

◆昨年までは、南北に作っていた畝。今年は思い切って東西に作ってみた。畝たて成型マルチャーが、横斜面に弱いことから、斜面に対して並行ではなく垂直に向かっていく形で作業をしようと考えた方である。予想は的中。ほとんどエラーもなく効率よく畝立てマルチをすることができた。

◆朝飯前の2オペで、30aの畝たてマルチ終了!!いい写真も撮れたのでごらんあれ。

☆↑右手奥の方向の一段低いところに合計15aほどの畑がある。ちょうど写真右上の辺りが、昨年土砂崩れがあった現場だ。

☆↑無事終了。ナメクジは右側の土手かややって来る。今回は土手側に大きく枕地を取ったので「ナメキール」(ナメクジ駆除の農薬)を使わなくて良いかもしれない。

◆エダマメ生産のファーム*ジャグロンズ兎農園のセキダ圃場は難あり癖ありのオンパレードだ。そのためこれまで、主要作物である水稲の栽培が行われてこなかった圃場でもある。一枚目は、20aで一辺が100mに及ぶ広大な圃場であるが、下から水がしみ出てきてしまう訳あり圃場だ。そして、畑のこっちとあっちで全く土壌水分が違う不均一環境圃場でもある。

◆そのほかの2枚の畑も大きな石のオンパレードだ。大きくて丸い石がなんぼでも出てくる。ショックで作業用トラクターの寿命も縮んでしまうほど。なかなか手ごわい。

◆このブロックも、隣の田んぼの水が入る前に、計55aの耕運から植え付けまですべての作業を2日間で終了させた。

☆↑この枕地の広さがジャグロンズ流。「農作業の時短」を強く意識した結果のスタイルである。この圃場は長さ100m級、端から端まで20秒で駆け抜けるのは難しい。

☆↑この圃場は一見何事もなさそうであるが・・・・・・・・↓この通り漬物石級がごろごろ。難あり癖ありのオンパレードだ。

◆山桜がきれいに咲いた4月26日。兎農園ではエダマメの初植えが無事行われた。

◆植え付け開始14時、正味の作業時間は2時間半、移植機2台、オペレーター3名(うち1オペ一台、2オペ2台)

◆植え付けトレイ数69枚。苗は少し小さめだが、根鉢の形成は必要十分だ。