◆私の故郷では、高齢者でよくMTの自動車は運転できるがATの自動車は運転できないという人がいる。運転技術的にはATのほうがMTよりもやさしいのだが、長年の「慣れ」による「昔取った杵柄」といったところだろう。

◆さて、2000年6月の出来事。米国Handspring社のVisor(Deluxe)の日本語対応版が全国一斉に販売開始された。

◆店頭【確か四日市のコンプマート】で手に取った結果、直感的に「これは良い」と感じた私は、すぐに購入を決断した。29800円也。当時PalmOSを搭載したハンドヘルドPCは、4~5万円と高かったが、これは安いと感じる価格設定であったのだ。

◆Apple社の初代iMacに見られるような、カラーリングバリエーションをもったVisor Deluxeは、他のPalmOS搭載機にはないカジュアルさを備えていた。私が最初に購入したのは、Visor Deluxe グラファイト(黒)である。

◆モノクロの見やすい液晶。そして、アルカリ単四電池2本で瞬時に起動し長時間駆動するのが、初期のVisorの魅力であった。私は、その後コンセプトはそのままにCPUとOSをバージョンアップして発売されたシルバーカラーのVisor Platinumへと乗り換えることになる。

◆Handspring社のVisor。当時は、忙しいスケジュール管理もサクサクとこなしてくれる私の秘書のような存在として活躍してくれたものだ。

◆私は、前職が執筆活動を伴う職種であったことから、IT活用においては、ほぼブラインドタッチをマスターしたキーボード入力派である。しかし、当時、キーボードを持たないこのPalmOSの入力方法としてのGraffitiという略字入力システム(スタイラスペンで書き込む方式)は、私には、それがすぐにマスターできるほど簡単なものであった。

◆あれからほぼ20年、身の回りを整理していたらひょっこり現れた「Visor」。電池を入れてみたら何も問題なくサクサク動く。長年のブランクをまったく感じさせない動きだ。

◆現代の、キーボードを使わないスマホ世代からするとなんともならない代物であろうが。アラフフィフ世代に突入した自分にとっては「昔取った杵柄」。ノスタルジックな気分にひたりながらも、もう少しだけ使ってみたいと思う。

☆Handspring社のVisor。左は英語版のDeluxe、右は日本語版のPlatimum。共に筆者所有。

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