◆圃場所有者でありジャグロンズのサポーターでもある粟津さんから電話を頂いた。「圃場をあんなにしちゃって大丈夫なのか」(地元の言葉で表すと「えがで、えがで~」といった感じ)という心配のお電話だった。そうなのだ、確信犯的にやっちゃったのだ。ジャグロンズが新しいことに取り組むとき、現状を徹底的に壊すことから始まることが多い。今回は湿田環境を徹底的に壊さなければ、エダマメの生産はできないと判断した。
◆新技術への挑戦は、ジャグロンズの得意分野のひとつである。周辺の皆さんからの注目度も抜群だ。「重粘質土壌圃場でのエダマメ生産の試み」に昨年は丸腰で挑み、大失敗!!生産量も25%程度と惨憺たる結果で、「人の不幸は蜜の味」といった観点からは、オーディエンスの皆さんには大いに喜んで頂けたと思っている。
◆さて、本取り組みを敢行するに当たって、科学的バックボーンを得るために、畑作の湿害対策について造詣の深い農研機構 西日本農業研究センターの亀井雅浩さんに教えを請う事にした。
◆亀井さんによれば、重粘質土壌圃場での畑作成功のコツは次の3つにまとめることができる。
①まず額縁明渠(圃場の周りに凹状の溝を堀ること)により、表面排水を速やかに行うこと。
②次に、サブソイラーを用いた弾丸暗渠を掘りめぐらせること。圃場が乾燥し、硬盤(地表面から20~30センチ位のところにある硬い土の層)にひび割れができれは弾丸暗渠の効果がさらに期待できるとのこと。コルゲート管などで作った古い暗渠は、古くなるとほとんど効果が期待できなくなることがある。
③最後に、畑作では、表面土壌の砕土率を高めることが必要で、そのためには、先ずブラウ耕により、土を反転させて土を乾燥させ、さらに、バーティカルハロウによる破砕が有効的であること。
◆昨年の「丸腰状態」では、上記の何れも実践することができなかったが、今年は違う、上記の①と②が期待できるところまで対策を施すことができた。これを踏まえての「やっちゃえジャグロンズ」である。予算の都合で③は、来年に持ち越しだ。
◆以上のことを踏まえて圃場主さんに説明させていただいた。「地域の常識からはかけ離れたことをしており今年も心配をおかけしますが、今やっていることは科学的に見て間違ってはいないので、もう少し見守ってください。」と。この重粘質土壌圃場は面積1.4haのまとまった土地で10年契約でお借りしている。2年目になる今年も、まだまだチャレンジングな取り組みだが、きっと成果が出るはず。この取り組みは、ジャグロンズの将来にとっても大きな飛躍の鍵になる取り組みなのだ。
◆今年は65点以上を目指す。そして来年は、75点以上達成できれば上出来である。自然はそんなにやさしいものではない。だから私は100点満点は望んでいない。コンスタントに75点以上取れる農業生産ができれば、理想の農業経営が実現する。
☆↑湿田環境からいきなりのカウンターパンチ!!クローラー式のユンボ脱出不能のピンチに陥る。もがけばもがくほど深く深く沈んでゆく。
☆↑はるか遠方では田んぼの準備で作業しているあぜ塗りのトラクターが、ぬかるみにはまり脱出不能になっている。
☆↑ユンボを引き上げたローダー&サブソイラ付トラクター
☆↑破壊活動開始だ!!
☆↑こちらも「やったるで~」とどや顔の佐々木氏
☆サブソイラー(弾丸付)使用時の様子。