◆SNSのエダマメグループの参加者で、岩手県盛岡市で野菜生産に取り組んでおられる藤原さん(私と同姓)からご質問を頂きました。
◆「ほうれん草のセルトレイ育苗で発芽が揃わず苦戦してました。どんな感じで種まいて芽だししてますか?」とのご質問。
◆お応えします。①ジャグロンズのほうれん草の育苗システムは、静岡、香川、兵庫県で普及しているレタスのセル成型苗育苗とほぼ同様です。②しかし、レタス、キャベツ、ハクサイと同様の播種後の灌水管理では、期待した発芽率を得ることはできません。③ホウレン草の種子の生理生態的特性を理解して管理することが肝要です。
◆要諦は、ズバリ、播種後3~4日間の水分環境と温度環境の2つの環境を適切に制御することです。具体的には、温度環境を15~20℃に保ったうえで、それぞれの種子に向いた水分環境を保てば育苗技術の80点は確実です。育苗日数24日程度で植え付け可能ですから、3日程度で80%の成功が保証されるのでまさにパレートの法則が成立します。

◆次に、具体的技術に関してご説明します。およそ播種後の積算温度60℃(日平均温度15度なら4日、20℃なら3日)前後に出芽の兆候が認められます。播種直後⓪の時点でたっぷり灌水してしまったら、確実に失敗ラインコースです。
◆⓪の時点で適切に水分管理したものは、日積算温度60℃の時点で、十分に灌水しても出芽率が低下しない体内生理状態にありますので、この時点で、たっぷり、そしてムラなく水分を与えてください。その方法として底面給水が最も合理的な方法と考えれれます。そして育苗ハウスに並べれば、、、3日後には周りのみんなに称賛を浴びること間違いなしです。
◆日積算温度60℃までの管理は、自作のインキュベーターを活用をお勧めします。
◆⓪の時点での適切な水分管理に関しては、種の種類(プライミングの有無、品種の違い)によって異なります。これらを詳細に検討してみた結果が、次の論文になります。是非じっくり読んでいただけたらと思います。
◆この研究成果は、私が、農研機構近畿中国四国農業研究センター野菜部に勤務していた時に、内地留学されていた、富山県職員の高田さんが精力的に取り組んだ結果を私が引き継いで原著論文に仕上げたものです。
◆☟スマホでは読めませんので、PCで開いてA4コピー紙にプリントアウトして読まれることをお勧めします。(下記をクリックすれば論文が見られます)

高田ら2006,セル成型苗育苗における播種後のミスト灌水処理がホウレンソウの出芽に及ぼす影響,農作業研究

★どうでしたか?どんな種子の場合でも200~300cc/トレイがお勧めですね。水の比重は1ですから、初めは200~300gを均一にかけられるジョロを用いて秤で確認しながらやってみることをお勧めします。