※↑左から山形県産、三重県産、京都府産。左側ほど東洋種の特徴が強く、右側ほど西洋種の特徴が強く現れている。

※↑これが「赤根ほうれん草」山形県高畠町産だ。

※↑これは「京都瑞穂ほうれん草」京都府瑞穂町産。

※↑そしてベンチマークほうれん草は「益荒男ほうれん草」。これは「ブラックタイプ」三重県津市安濃町産だ。

●2018年11月28日に新幹線で三重県から東京に日帰り出張した。

●お取引先様である伊勢丹新宿店のデパ地下生鮮売り場に立ち寄らせていただいた。

●長年お世話になっている小林店長が、「ちょっとこれ食べてみて」と紹介してくれた(試食させてくれた)のが、山形県産の「赤根ほうれん草」。知ってはいたがはじめて目の前にした。

●生でかじった感じでは、苦味がなく糖度10度前後と思われた。どうしても数字を出してみたい。「ほうれん草マニア」の血が騒ぎいくつかのほうれん草を購入した。

●購入したのは、山形県産「赤根ほうれん草」、三重県産「益荒男ほうれん草」、京都府産「京都瑞穂ほうれん草」の3つ。3袋の合計購入金額は1625円なり。

●京都府産のほうれん草は、売り場で一番高いほうれん草だ。今から17年前に私が京都府綾部市にある農林水産省の研究所でほうれん草の研究に着手した際の想定生産現場でもある瑞穂のほうれん草(ハウスものと思われる)。税込価格1袋702円だ。

●山形県産のほうれん草は、通常のほうれん草の外観を超えた太い赤根が特徴だ。腋芽が多く、じっくり寝かして作られたほうれん草とお見受けした。固定種の日本ほうれん草で病気に弱く作りにくいといわれているが、山形県の冬は三重県よりも一足早く来る。色が山吹色で根が赤い特徴は、ジャグロンズの益荒男ほうれん草の中では「ゴールデンタイプ」に極めて近い。※ゴールデンタイプはF1ハイブリッド種子だが、かなり古い品種で「べと病」に弱い。そのため三重県産では、1月中旬から2月上旬にしか出荷できない。

●三重県産のほうれん草は「益荒男ほうれん草」。ベンチマークとして購入した。農場に有るものと出荷してお店に並んでいるものでは品質が異なる場合があるので、あえて、販売現場から調達した。「益荒男ほうれん草」のみ、肉などの食材と同じ量り売り販売である。産直のほうれん草をお店のバックヤードで袋入れしていただき、グラム単価(現在は100gあたり200円)で販売するスタイルは、伊勢丹新宿店のみのこだわりの販売スタイルだ。店頭販売時の外観の美しさは生産者の私も満足ものだ。現在出荷されているのが、「ブラックタイプ」。暖冬のため、まだまだ糖度は上がりはじめたばかりだで、三重の農場からは葉柄基部の糖度が7度(Brix%)前後で出荷されているが、売り場ではどのような状態になっているのかが気になるところ。

●糖度の計測結果は次のとおり。京都府産2.1度(Brix%)、三重県産6.8度(Brix%)、山形県産11.8度(Brix%)。京都産に関しては、ハウスもののほうれん草は、糖度が上がりにくいが、外観の美しさや揃いのよさが特徴だ。また、やわらかさでは3つの中でもっともやわらかいので、しゃぶしゃぶもいけると思う。糖度が低めなので砂糖が入った「ごまだれ」で食べるのがお勧めである。山形県産は、やはり、お砂糖なしでそのままだ。生でサラダでもいけると思う。そして三重県産の「益荒男ほうれん草」。甘いほうれん草としての認知度が一人歩きしてしまっているが、ほうれん草としてはかなりいいバランスで仕上がっている。現在は「おひたし」が最もおいしく食べていただけるお勧めの調理法である。

●今回お忙しいところ対応していただいた小林店長、野菜担当の鈴木さん、阿部さん。ありがとうございました。今シーズンもよろしくお願いします。

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●今年最後の「渡り」。これまでの秋田~三重の移動でもっとも快適な巡航の一つとなった旅であった。

●今回移動に用いたクルマは、平成9年式のホンダアコード1.8VTS。車両の型式はE-CF3、エンジンの型式はF18B。パワーよりも経済性に焦点を当てたチューニングのVTECエンジンを積んだ機体だが、すこぶる快適だった。

●20年以上前の5ナンバーのアコードだが。隠れた名車である。日本刀を思わせるすらりと長い低重心のフォルムは空気抵抗が少なく、高速道路の移動にはもっともふさわしい。20年モノでこれだけ走るのはさすが日本車だ。

●燃費は、町乗りでは通常10~11km/Lといったところだが、今回は、満タン法で計測して14.1km/L(45Lで663km走った)。これはほぼ発売時のカタログ値に近い数値である。最初の50km程度は下道だったので、高速道路走行のみの場合はもう少し走行距離が伸びる気がする。

●今回の秋田「兎農園」から三重の「安濃津農園」までの実測距離は875.3km。深夜の農場の入り口ではまずはじめにタヌキが横切り、ついで巨大な2頭の牡鹿が出迎えてくれた。先日はキツネも現れたし、イタチやネコもいる。(このため野鼠はほとんど見かけない。)クマはいないものの三重の農園のほうが秋田のそれよりも獣たちの種類と量では上を行っている。

●なお、今回のアコードはもうすぐ車検。東京のクルマ屋さんから多摩ナンバーの車両を赤札価格で購入した車両だが、掘り出し物の予感。ミッションとエンジンのオイルはすでに交換済み。現在の走行距離は7万キロ台、ショックアブソーバーを今話題の会社KYB製のものに交換、そしてタイミングベルトと溝はあるが経年劣化してひびが入ったタイヤを交換すれば、ほぼ万全だ。メンテナンスを施して、今後の仕事に安全かつ快適に活用してゆきたい。

●ジャグロンズファミリーの現地法人「株式会社ラビッド・ブラウン」は、現在、秋田での枝豆生産に特化した秋田県美郷町に本社を置く農業生産法人。今年もいろいろと未知の分野にチャレンジし多くの経験を積み重ねました。

●現在、大仙市と美郷町をまたに駆けての枝豆生産事業では。大仙市と美郷町の複数の農業委員会事務局のお世話になりながら、事業を展開してきました。

●先日は、大仙市農業委員会からのご紹介でお会いした大仙市の地主さんである仙台市在住の進藤ご夫妻のお誘いで喫茶店でのひと時の交流を持つことが出来ました。偶然お二人は、私の母校大曲高校の大先輩に当たること。私が仙台在住の経験があることで話が盛り上がりました。そして、すでに亡くなっている進藤様のお父様が、秋田県で開発された農業技術の実践に率先して取り組んでおられたことをお聞きし、この思いを次世代にもつなげてゆきたいと、強く感じました。

●これからも夢を形にするために精進を重ねてゆく所存です。来年もファーム*ジャグロンズ「兎農園」頑張ります。

●三重県津市の「安濃津農園」と秋田県美郷町の「兎農園」、この二つの農園を直営する「ジャグロンズ」の今後の活動にご期待ください。

↓※美郷町の六郷東根地区は秋田県でも有数の豪雪地帯。これから深い雪におおわれる。

↓※巨大手作り格納庫。これまでビニルハウス方の格納庫を2度雪による重さで全壊した。そういった経験を踏まえてこの片屋根スタイルが完成した。雪が右側に滑落するシステムだ。

↓※今年新しく完成したトラクター庫。2棟の格納庫には合計12機のマシンが来年春の出動に備えて格納されている。今年初めての冬を越すことになる。

↓※枝豆生産に必須の冷蔵庫、この中には6坪仕様の冷蔵庫が格納されている。紅白のポールは除雪車のためのマーカーだ。さて、今年はどれくらい雪がふるのだろうか?

↓※三重県よりも東側に位置する秋田県。4時を過ぎるとすぐに真っ暗になってしまう。今年活躍したハイエーストラックは、格納庫で来年の春まで待機する。

↓※愛用のレトロトラクター。奥に見える赤い機体は秋田では珍しいと言われるマッセイファーガソントラクターMF4235(75ps)。来年早春の猛ダッシュに備えてロータリーを等身大の2.2mに変更、準備万端だ。マッセイファーガソントラクターのお下がりの2mロータリーを装着した手前のフォード3910(48ps)は、これからディーラー(日本NH)のドックに入り年内に整備完了予定。来年春からの活躍が期待される。

↓※マッセイファーガソントラクターに新しく導入装着された2.2mロータリー。枝豆生産事業は、作業の爆発力が生命線。露地野菜農業では作業効率の「最大瞬間風速」が重要になる。来期は耕起効率7分台/10aのジャグロンズレコードを目指す。

↓※三重の農場を留守にし、単身秋田で、現地のスタッフの協力を得ながらも、昨日、無事冬支度を終了。往路は新幹線、復路は愛車のレトロセダンで長距離ドライブだ。これから三重に帰ります。それでは皆さんごきげんようさようなら。

 

●最近は日が短くなってきた。午後6時には真っ暗だ。

●天候に左右される露地野菜生産。日が暮れてからでもどうしてもやりたい仕事がある。

●そういったときのために今回は夜を徹して、大型トラクターJD2040への照明デバイスの装着を試みた。

●ブリティッシュトラクターを多く所有するジャグロンズの中にあって、この機体は唯一ドイツ製のヴィンテージものだ。

●古いが、馬79頭分の力を発揮してくれる力持ち。冬の北風からドライバーを守ってくれるこの丸みのあるキャビンが私のお気に入り。

●前後とも視界良好!これで日没後も農業をエンジョイしてしまいそうだ。

●「観る」ことで見えてくる真実がある。混ぜると「ごみ」だが、分けると「お宝」

●農園内の環境整備。混ざっている状態だとごみとして処分する対象になってしまうが、分別すれば、価値が明確になる。

●今回は老朽化して解体したハウスの鉄の部材を整理した。

●分別後、わかりやすい場所に配置換えされ「見える化」処理されたものは農場に残ることに。

●そして、それ以外のものは、リサイクルの道へ。鉄くず屋さん経由でまた次の人生を歩んでもらおう。

●さて、「分別」という言葉は、意味深だ。分類して別れると分解することもできる。

●自然科学は分類に始まり分類に終わる(古澤満コラムより)。ジャグロンズが取り組む科学的農業の実践においても始まりとしての「分類」は重要だ。そして、「分類」の後、それらから一定の距離を置いたとき新しいものが見えてくる。

●この一定の距離を置く「別れ」という状態に身を置くことは、人生においても生産的な一面を持っているのだと思う。

●そんなこんなで、私自身、分別のある人間になるために日々の精進を重ねているところである。

●最近農場に現れる動物がいる。ネコだ。

●非常に美しい外観の青い目をしたネコで、左耳にちょっと傷がある。オスだろうか?

●長いしっぽをくるりと反時計回りに巻いて正座する礼儀正しい佇まいは、育ちのよさを感じる。

●ネコというよりイヌっぽいとすら感じる。大型犬の落ち着きを身にまとっているのだ。

●あまりにも感心なので、声をかけてみることにした。

●「シロ!」と声をかけるとまんざらでもない様子。彼にはシロと命名した。

●動物学的には「イエネコ」だが、ヤマネコにも似ているので「ヤマネコのシロ」と名づけよう。

●クロネコのヤマトというのがあるが、ヤマネコのシロだ!!

●彼は、どこからかやってきて、日中は広い農園内を巡回警備に当たっている。

●そして夕方には時折私の前にちょこんと座って挨拶をして、またどこかへ消えてゆく。

●なんかいいことが有りそうな気がする。そんな気がする今日この頃である。

●三重県津市にある、ファーム*ジャグロンズ「安濃津農園」。ここで10月8日から13日までの一週間、秋田県からのインターン研修生を受け入れた。

●研修生は、北林英天君、秋田県立大曲農業高校在学の2年生だ。

●今回は、サトイモの収穫、ほうれん草の播種、底面給水作業等の育苗管理、電動型半自動移植機「センジュキャノン」を用いた植え付け作業等が研修の主な内容。

●ジャグロンズの作業はトラクターなどのエンジン駆動のデバイスを多用する。そこは、ばっちりデジカメに収めてもらった。文部省のシステムを活用してのインターンシップ研修制度なので帰ったら今回の体験をみんなの前で発表することになっているのだそうだ。

●サバイバル的研修要素が強いジャグロンズでの「ブートキャンプ」。最終日は、出張先の九州福岡から頂いた、高級焼肉セットでお別れパーティー。

●全く新しい環境での生活体験を今後の人生に活かしてほしい。

●次世代を担う若者たちと時間を共有することは、私自身にとっても非常に有意義で生きがいにつながるイベントでもある。

●大変すばらしい時間をありがとうございました。

◆OH!モウレ津ゥ~

●只今、台風24号に遭遇中。あまりにもモウレツなので実況中継することにします。

●場所は三重県津市の安濃津農園内の特設バスルーム。

●安らかな雰囲気のバスルームでのひと時を過ごしているが、外は強風。

●まるで新幹線のトップで入浴を楽しんでいる感じだ。この風切音はまさに新幹線のそれとおなじだ。

 

●沿岸部では高潮警報。山麓部では、土砂崩れ警報発令中、その中間に位置するファーム*ジャグロンズ安濃津農園は該当外だが、ただ1つ不安なこと、それは安濃川の決壊。それと、竜巻。これだけは困る(ああ2つありました)。

●ファーム*ジャグロンズの、農園構造は、「3匹の子豚」の家でたとえるならば、「木の家」だ。少し不安、いや、大分不安?

●大事になりませんように。。。。

☆台風遭遇気づきメモ

●台風遭遇直前に、急激に温度が上がり湿度は飽和状態に。室温においてあったペットボトルの水の外面にそれまではなかった結露が認められた。まるで冷蔵庫から出してきたての水のように。

●湿度の高い熱の塊。これが台風のエネルギーの正体のなのだろう。台風恐るべし。

●もう外は真っ暗。不気味な音のみが、その迫力を醸し出している。

●台風24号がやってくる。2018年は台風の当たり年のようだ。

●今回は、どうなるのか、破壊的な自然の脅威に向かい合うとき、それは不安と興奮に似た感情が入り混じる。

●この状況を乗り超えたときに新しいチャンスが見えてくる。それはあたかも、大きな波を乗り越えたときのような高揚感を伴う。

●少し怖い、未知との遭遇。しかし、それは何度も経験しているうちに未知ではなくなる。既知との遭遇は完璧とはいかないまでもフィフティフィフティ以上の確率で乗り越えられる。決して絶望すべきことではない。

☆↓2度と同じ轍は踏まない。前回の台風によって土台ごと動かされたインターン生用の設備も、復旧完了。防風対策を施して、この通り。ファーム*ジャグロンズのイメージカラーのマホガニーブラウンで塗装。バッチシ決めて、次の強風に備える。

 

 

◎桃栗三年柿八年、藤原隆広は農業始めて12年。

◎48年の私の人生を振り返ると、住民票の所在地の内訳は、三重県20年、秋田県18年、京都府5年、神奈川県4年、宮城県1年となる。

◎日本各地での生活経験と、12年間の「渡り鳥農業」の実践の中で、従来の農業とは少し視点の異なる農業の実践に手ごたえを感じているところだが、まだ道半ばである。

◎9月の活動拠点は三重県津市であるが、今は4日間だけ秋田県美郷町に滞在している。

◎この4日間で思わぬ方々との出会いがあった。大仙市の農業委員会(秋田の枝豆事業では現在、美郷町と大仙市の2つの農業委員会事務局の皆さんにお世話になっている)の方からの紹介されたSさん。それに、1ヶ月前に草刈の道すがらご挨拶したことをきっかけに土地の提供のお話をいただいたHさん。そして、地域の農業の振興に協力してほしいと声をかけて頂いたIさん。多くの出会いがあった。

◎地主の皆さんからは、それぞれの農業に携わる上での事情をお聞きし、その上で私たちに土地を託していただけるとの了承を得たが、来年も身を引き締めてゆかなければならない。

◎ジャグロンズの藤原隆広として、自分にしか出来ない天命がある。それを全うするためには、三重県津市の「安濃津農園」と秋田県美郷町「兎農園」この2つの農園、いわば「二速のわらじ」を履くことが不可欠。2つは、複数の最小単位なのだから。

◎私の住民票の遍歴を見れば、私の天命の一端を理解していただけると思う。いや、理解してもらうためにやっているわけではない。ひとつずつ結果を出してゆけば自然に誰かが勝手に解説してくれるようになると考えている。

◎明日は、乗用車で津市に帰る。日本海の景色を楽しみながらの一日たっぷりのドライブである。