◎ファーム*ジャグロンズ「兎農園」新天地への挑戦!!「石の壁」と「粘土の壁」どちらの壁を越えるべきなのか。20180510JagronsTF

◎今回は、並列する二つの壁が存在し、いずれかの壁を越えて向こうに到達しようとするとき、いずれの壁を越えるべきか考えてみたい。1つは「石の壁」、もう1つは「粘土の壁」である。

◆2018年5月6日早朝5時30分から1時間ほど、大仙市「下深井地区」で地域の環境保全イベントに参加した。具体的には用水路の掃除だ。美郷町東部に位置する私たちからして普通はありえない地区への地域イベント参加だ。

◆農業といえば、「環境保全」や「地域保全」などが叫ばれて久しいが、今回もそうした流れの活動の1つだ。私は長年このイベントに参加している粟津さんという白髪のご年配の方と2人一緒で長い用水路を担当することになった(この地区には粟津さんという苗字が多い)。粟津さんの言うには、最近、高齢化によって参加者がめっきり減ってしまったとのことだ。

◆さてこの、下深井圃場、以前も触れたが、かなりの重粘質土壌で、これまでのジャグロンズ持ち合わせの技術では現状太刀打ちできない一面があった。しかしここは考え様、多くの経営者の先達が言われるように「ピンチはチャンス」的側面がある。

◆SWOT分析風に従来の「兎農園」圃場である「美郷山麓エリア」と新天地「大仙下深井エリア」を比較してみたい。SWOTはS(Strengths)強み、W(Weaknesses)弱み、O(Opportunities)機会、T(Thrests)脅威に分けて考える経営ビジネスの手法である。

★「美郷山麓エリア」

S→排水性が高い。雨の多い年に有利。環境や生物の多様性

W→石が多い。農道や圃場の基盤整備などインフラの整備の後進性。区画が狭い

O→稲作を中心とした農業経営の限界を迎えていること、すでに廃業した果樹園地跡などの土地利用依頼の申し出が多くなっている。

T→スケールメリットを活かしにくいため、多くの土地を請け負うことで雁字搦めになってしまう可能性がある。

★「大仙下深井エリア」

S→石が全くない。雨の少ない年に有利、区画整理された大きな圃場

W→排水性が悪い。農園本部から離れている。

O→県内全般に、担い手の不足から、土地提供者が増える可能性がある。

T→水田転換畑を成功させる技術的ハードルが高く、野菜作で成功させるには高いハードルが存在する。

◆以上を踏まえた上で、今後の農場運営を考えたときに、2つの将来像を描くことができる。前者については、環境や生物の多様性を活かした農産物のブランド構築とこれまで以上の情報活用による利益率を確保した農業の実現。後者については、湿害対策の一点のみを突破すれば、効率的な強い農業の実現に最も近い環境が得られる可能性が高く、長期的には土地利用型野菜作農業の実現に明るい展望が得られる。

◆多くの方から、遠方の「下深井地区」への耕作に疑問を呈する意見が寄せられる現状だが、冷静に考えると実は、技術のジャグロンズにとって、一点突破後の事業展開が今後の事業を飛躍的に発展させる鍵になることがわかる。

◆秋田県南部における十数キロ程度の圃場間距離の問題は、千キロ近く離れた秋田県「ファーム*ジャグロンズ兎農園」と三重県「ファーム*ジャグロンズ安濃津農園」でここ十年来、渡り鳥農業を実践しているジャグロンズにとって案外問題にならない問題なような気がする。

 

 

◆3日前に、匿名でメールが届いた。名古屋市内の高級スーパーで益荒男ほうれん草を購入したお客様からのメッセージのようだ。そのままコピー&ペーストしたのが以下のカッコ内。

☆★☆「昨日 サポーレで購入致しました。甘みがあり、柔らかくとても美味しく頂戴致しました。この味でこのお値段は、大満足です。これからも引き続き提供して頂きたいです。頑張って下さい。」☆★☆

◆早速、この時期に三重の農場を担当している。スタッフの中村に内容を転送した。これは中村の仕事が評価されたことに他ならない。同じく、津市内のお店のママさんからも、「大変良いほうれん草をありがとうございました」とのショートメールを頂いた。ダブルの反響だ。

◆初夏の益荒男ほうれん草は、真冬の益荒男ほうれん草のように甘すぎることはない。なので、現在のほうれん草を評価してくださる方は、かなりの「ほうれん草通」のはず。

◆私の思いをスタッフが共有してくれる。そして、野菜を食べてくださった方から便りを頂く。こんなにうれしいことはない。

※↑写真は、津市在住の西之坊とし子さんから頂いた作品

 

◆先日のテスト運行で、操作手順の道筋をつけることができたMF135。若手スタッフの淡路氏にオペレーションをバトンタッチした。

◆最近、自然の変化を機敏に捉えられるようになってきた淡路氏。今回も、水温系などの計器をしっかり見て運行してくれた。その結果90aを耕起する予定が55a程度で帰還してきてしまった。ラジエターの温度がレッドゾーンを示したのでいったん作業を取りやめたとのこと。

◆どうやら、90分ぐらい、または作業面積60aあたりでオーバーヒート気味になるようだ。今度、ラジエターの中を良く診てみることにしたい。

☆↑↓こちらは畝たてマルチ作業機1号(クボタJB13)で畝たてマルチ作業中の淡路氏

 

◆トラクターなどファーム*ジャグロンズ「兎農園」の農業機械は常に「プロボクサーのストレートパンチ」級のショックと戦っている。それは、主に美郷町六郷東根地区に多い大きな「石」によるもの。

◆畝たてマルチトラクターなど、ロータリー耕運を伴う作業機は、常に「パンチドランカー」と背中合わせの状態にある。

◆今回も、普通ありえない22mの大きなボルトの緩みが見つかった。このまま作業をすると大きな事故につながる。重大な発見であった。重大インシデントである。

◆今回のインシデントに至った経緯は、次の通り。ロータリー爪が緩んだときに発する音を察知し、実際に爪の緩みをチェックしたところ、全く緩みは確認されなかった。なぜ、爪が緩んでいないのに音が出るのか?。ロータリーをゆっくり回してみると、左側の爪先が接触するはずのない培土板に接触しているではないか。これにより、トラクターのロータリーと畝たて作業機を連結しているボルトの緩みが発覚、問題のボルトを締めなおすことで大事には至らなかった。

◆今回は、畝たてマルチ専用機2号(かなり古い中古で購入したヤンマーke3D)で見つかったインシデントであるが、過去に重大なアクシデントにつながったことがある。それは2年前のこと、畝たてマルチ専用機1号(新車で購入のクボタBJ13)で、まさに同様の役割を果たす部品が外れて紛失、作業機は故障。5月の連休で部品が手に入らず一週間以上作業ができないトラブルに見舞われた。実際は、かかり付けの鉄工所で、部品をワンオフで作ってもらい数日で強制的に作業を復帰させたのだが、あれには参った。また、あのときに1台しか作業機を持ち合わせていないことの危うさを知った。

◆私たちオペレータは、常に作業機の音に耳を澄ましている。ぼけっと作業していてはプロ失格なのだ。しかし、それは常に緊張状態で向き合うべきものではない。リラックスしてことにあたらなければならない。β波が出る状態ではなく、α波が出る環境で仕事しなければならない。そんな、仕事の中に、何かパズル的、間違い探し的な、知的好奇心を満たす要素が潜んでいる。

◆農業は単純作業の繰り返しである。しかし、同じ作業の繰り返しではない。天候や対象作物の生育過程などにより毎回微妙に作業結果のニュアンスが異なる。奥深いものなのだ。

☆↑一見ボーっと見ただけでは判らないが、このボルトとナットの緩みが「重大インシデント」。かなりガタついている。プロとして、これを見逃すと「ボーっと生きてんじゃねえよ!」とチコちゃんに叱られる。

◆ジャグロンズのオリジナル開発エダマメ用トランスプランター(移植機)「センジュキャノン」エダマメ仕様。

◆通常は立った姿勢で快適に植え付け作業ができる(詳しい学術的研究成果はこちらを参考ください→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfwr1966/41/1/41_1_12/_article/-char/ja)。それは、中腰の姿勢から開放された「快適天国」。しかし、畝たてマルチをした後でまとまった雨が降ると、マルチとマルチの間にすべての雨がしみることになり、実質、降雨量2倍近くの水分が通路に流れ込む。これにより移植機のタイヤがぬかるむなど、降雨直後の植え付け作業は難航を極める。天候を読み違えると「地獄行き」なのだ。

◆露地生産農業は波乗りのようなもの。風や温度、そのあの条件を肌で感じその情報をにどう対処するかで、農作業の作業性や効率が大きく左右される。一生懸命がんばってくれるスタッフのために、農業現場の総司令官的ポジションで働くものにとっては、プロの腕が試される場面である。

◆指示する立場のスタッフと、実践する立場のスタッフ両輪がうまくかみ合ってジャグロンズの農場運営は成立する。写真は2018年5月4日の様子である。タイヤに泥が付着しており、グリーンのレインウエアのスタッフの長靴に泥がついている(地元の言葉で「ぼっこがついている」)。植え付けを担当した皆さんには苦労をおかけした。今回の反省を明日からの作業計画作成に活かして行きたい。

◆昨日、コバシロータリーから異音が聞こえたため緊急農場内ドックに入った「マッセイファーガソントラクターMF4235」。

◆予想通りセンターのギヤボックスのオイルが乳白色になっていた。

◆90番のオイルはべっ甲色をしているが、中に水が入ると乳白色になり、そのまま使い続けるとギヤやベアリング類が錆びて壊れやすくなるのだ。

◆2日間であるが、ファーム*ジャグロンズ兎農園にあるもう一台の「マッセイファーガソントラクターMF135」が緊急登板することに。

◆45馬力のクラシックトラクターは、エンジンサウンドが心地よい。ニプロロータリーの尾輪とスプリングを調節し絶好調で作業していた。

◆60aの作業もあと1往復で終わりといったときのこと、エンジン回転が急速に落ちエンジン停止状態に。同時に「ぷっしゅ~」という音と共にトラクター前方から、水蒸気と緑色の液体が飛び散った。

◆「やばいっ!!」すぐさま、マッセイファーガソンの専門家、山形県のの武田さんに連絡。とりあえず放置して、エンジンを冷却することにした。

◆1時間後にボンネット上部のふたを開け中をのぞいてみると、ラジエター上部から出ているホースが抜けていることが判明、メカニックパートナーの佐々木氏が、ホースの先が部品と部品の間に挟まってつぶれていることを発見。それを取り出し、つぶれを戻して、口で空気を吹き込むと、「うっぷ」。空気が通らない。ホースの先端には土蜂によって土が詰め込まれていることが判った。ラジエター液は2Lほど足したが、ラジエターに致命的な故障は認められなかった。

◆このこととエンジンの停止のこととは直接の関係はないと感じた私は、燃料タンクを確認。「カラッカラ」だ。燃料ホースにエアをかんでしまったようだ。軽油を給油しエアを抜いてセルモーターを回すと。エンジンは無事回転。

◆今回の故障は、全く異なる2つのトラブルが偶然2つ同時に起きたケースであった。

☆☆今回のトラブル復旧所要時間、屋外現場にて藤原・佐々木組で20分程度。上出来である。☆☆

◆昨日と今日の天気は本当に意地悪だ。

◆みんなで農作業に取り組もうとすると土砂降りの雨。

◆今日はもうだめかなあと思うとさっと晴れる。

◆そんな中、7名のスタッフはそれぞれの所定のポジションで今日も一日がんばってくれました。

◆ありがとう。また明日もお願いします。

◆農作業時は、長靴を履く機会が多いが、黒ボク土壌の畑では、隙間から土が入って、靴下が真っ黒になることが多い。

◆皮製のワークブーツが僕のお気に入り。

◆Red◎◎などの高級ブランドは畑作業にもったいないが、合皮素材物では足が蒸れてしまうのでよろしくない。

◆雨の日以外の農作業にお勧めのアイテムだ。

◆ファーム*ジャグロンズエダマメ圃場の1つに吉ヶ沢圃場というのがある。その一角は昨年の大雨で一部土砂崩れが発生した場所だ。そして、唯一毎年ナメクジの被害が見られる畑でもある。赤色土の山土で大きな石も混ざっている。水分の状況と耕起の方法を誤ると十分な砕土率を得られないので注意が必要だ。

◆ここも過去に「やっちゃえジャグロンズ」ということで、畦を壊し上段の畑3枚を一枚にした。そして、今回、隣接する畑を譲り受けたため、下段の畑2枚を一枚にした。

◆昨年までは、南北に作っていた畝。今年は思い切って東西に作ってみた。畝たて成型マルチャーが、横斜面に弱いことから、斜面に対して並行ではなく垂直に向かっていく形で作業をしようと考えた方である。予想は的中。ほとんどエラーもなく効率よく畝立てマルチをすることができた。

◆朝飯前の2オペで、30aの畝たてマルチ終了!!いい写真も撮れたのでごらんあれ。

☆↑右手奥の方向の一段低いところに合計15aほどの畑がある。ちょうど写真右上の辺りが、昨年土砂崩れがあった現場だ。

☆↑無事終了。ナメクジは右側の土手かややって来る。今回は土手側に大きく枕地を取ったので「ナメキール」(ナメクジ駆除の農薬)を使わなくて良いかもしれない。

◆エダマメ生産のファーム*ジャグロンズ兎農園のセキダ圃場は難あり癖ありのオンパレードだ。そのためこれまで、主要作物である水稲の栽培が行われてこなかった圃場でもある。一枚目は、20aで一辺が100mに及ぶ広大な圃場であるが、下から水がしみ出てきてしまう訳あり圃場だ。そして、畑のこっちとあっちで全く土壌水分が違う不均一環境圃場でもある。

◆そのほかの2枚の畑も大きな石のオンパレードだ。大きくて丸い石がなんぼでも出てくる。ショックで作業用トラクターの寿命も縮んでしまうほど。なかなか手ごわい。

◆このブロックも、隣の田んぼの水が入る前に、計55aの耕運から植え付けまですべての作業を2日間で終了させた。

☆↑この枕地の広さがジャグロンズ流。「農作業の時短」を強く意識した結果のスタイルである。この圃場は長さ100m級、端から端まで20秒で駆け抜けるのは難しい。

☆↑この圃場は一見何事もなさそうであるが・・・・・・・・↓この通り漬物石級がごろごろ。難あり癖ありのオンパレードだ。