◎桃栗三年柿八年、藤原隆広は農業始めて12年。

◎48年の私の人生を振り返ると、住民票の所在地の内訳は、三重県20年、秋田県18年、京都府5年、神奈川県4年、宮城県1年となる。

◎日本各地での生活経験と、12年間の「渡り鳥農業」の実践の中で、従来の農業とは少し視点の異なる農業の実践に手ごたえを感じているところだが、まだ道半ばである。

◎9月の活動拠点は三重県津市であるが、今は4日間だけ秋田県美郷町に滞在している。

◎この4日間で思わぬ方々との出会いがあった。大仙市の農業委員会(秋田の枝豆事業では現在、美郷町と大仙市の2つの農業委員会事務局の皆さんにお世話になっている)の方からの紹介されたSさん。それに、1ヶ月前に草刈の道すがらご挨拶したことをきっかけに土地の提供のお話をいただいたHさん。そして、地域の農業の振興に協力してほしいと声をかけて頂いたIさん。多くの出会いがあった。

◎地主の皆さんからは、それぞれの農業に携わる上での事情をお聞きし、その上で私たちに土地を託していただけるとの了承を得たが、来年も身を引き締めてゆかなければならない。

◎ジャグロンズの藤原隆広として、自分にしか出来ない天命がある。それを全うするためには、三重県津市の「安濃津農園」と秋田県美郷町「兎農園」この2つの農園、いわば「二速のわらじ」を履くことが不可欠。2つは、複数の最小単位なのだから。

◎私の住民票の遍歴を見れば、私の天命の一端を理解していただけると思う。いや、理解してもらうためにやっているわけではない。ひとつずつ結果を出してゆけば自然に誰かが勝手に解説してくれるようになると考えている。

◎明日は、乗用車で津市に帰る。日本海の景色を楽しみながらの一日たっぷりのドライブである。

☆2018年4月21日7時30分

◆ジャグロンズの「渡り鳥農業」本渡りイベントとして、3台のトラックが三重県津市を出発した。今回の移動ではワンオペで藤原、淡路、佐々木の3人のドライバーが通しで運転する。新潟~山形付近にある桜前線を横切って北へ進む。

◆3人のドライバーが操縦する機体は次のとおり。藤原→マツダボンゴブローニートラック冷蔵車仕様(前ユーザー広島県、イチゴ苗&種芋等を運搬)、淡路→いすゞエルフ1.5t(和歌山から入手した2坪プレハブ冷蔵庫を運搬)。佐々木→日野デュトロ3.5t積載車仕様(ヤンマートラクターAF22&スガノ サブソイラー&ホンダ スーパーカブ)を輸送。

◆トラック3台は、連なるフォーメーションをとりながら、三重から滋賀、滋賀から福井、福井から富山へと順調に北上していた。

◆富山に入ってまもなくのこと、1番手を務める藤原のボンゴの後輪から何か絡みついたような異音を確認。すぐに、次のパーキングエリアにピットイン。2番手を務めるエルフの淡路によると、「タイヤが剥げて煙が見えた」とのこと。

◆実は、出発直前にボンゴのダブルタイヤの再度が切れて破損していることがわかり、亀山でスペアタイヤに替えてもらっていたのだ。スペアタイヤは溝が十分残っているものの相当古く空気圧が十分な分、ひび割れが進んでいたのだ。

◆気温25度以上の真夏日での移動。高速道路の路面も暑い。こうした環境の中で、タイヤのゴム面が夏を持ちはがれ去ってしまったのである。8プライのタイヤもこれではお手上げ、ハザードを点滅させながら、次のインターチェンジである小矢部で高速を降り、他の2台とはお別れをした。早くも1台脱落。先に進んだ2台は、順調に進みその日のうちに秋田県美郷に無事の到着したことを確認した。

◆一方、小矢部で行き着いたタイヤ屋さんで、タイヤを注文。最短で2時間待ちだとという。安全第一なので、待つことにし、タイヤを外す作業を除いてみると、前輪のタイヤ以外はどれも似たり寄ったり。あと500kmは知るには非常に心もとない。タイヤ屋さんに無理なお願いをして4本とも交換してもらうことにした。

◆すべてのタイヤ交換作業が終了したのは4時、当日は、安全運転で新潟まで行くのが精一杯であった。長距離ドライブでは、眠気覚ましに歌を歌うのも効果的である。「サニーサイドゴスペルクラブ」で覚えたゴスペルソングを歌いながら北へ北へと進んでゆく。声はハスキーボイスで腹から歌う。

◆桜前線は山形県遊佐町辺り迄来ていた。途中で国道7号線沿いのいつも気になっていたが入ったことのない古物商のお店があり、思い切って入ってみた。「恵多里、喜多里(えったりきたり)」という名前の店だ。東北弁で「往復する」という意味のこのお店、店主の池田鉄也さんが、人懐っこい対応で迎えてくれた。池田さんは鳥海山の山麓に農場も所有しているのだという。商品は農機具がメインだがフォークリフトやボブキャットもあり、JA11型のスズキジムニーがあった。店主は私にジムニーの鍵を貸してエンジンをかけさせてくれた。調子がいいしミッションも滑らかだ。これはすぐに売れるだろう。店主に缶コーヒーをいただき、店を後にした。

◆秋田~三重の移動で必ずよるのが、遊佐町の国道7号線沿線にあるフラワーというお店。季節の食材を上手に扱ったメニューは外れがない。いつも楽しみに寄らせてもらっている。「モータウンサウンズ」を連想させる店内のファッションもお楽しみのひとつ。ジャグロンズ一押しのお店だ。

☆2018年4月22日16時30分  無事、美郷町に到着。

●昔、野菜・茶業試験場の研修生の行事として行われていた「伊勢夜行隊」。津市安濃町から伊勢神宮までの60数kmを徒歩で移動するイベントである。夕方6時出発で翌朝7時ごろに到着する。

●ジャグロンズの「渡り鳥農業」の特徴は、設備投資を最小限に抑えて日本列島の四季の多様性を生かした「渡り」である。1回の渡りは約1000km(コースにより900km弱)と長距離の移動であるが、最近頻繁に移動することが多く慣れっこになってしまっている。

●さて、今回の移動、秋田の雪と解けた雪の凍結により、朝7時半の出発をきめた。今回は日野デュトロ3.5t積載車&パジェロミニ(軽自動車)でのドライバー2人(運転交代できない)のオールでの渡りだ。2名交代運転では通常13時間で走破するが、今回はそう簡単にはいかない。

●出発3分後に現れた雪国特有の絶景の美しさに心を奪われ、写真のシャッターを押すこと約十分のタイムロス。日本の自然は、四季の変化があるから美しいの だが、変化が過激であるほどその美しさも一際だ。そのときの写真が下の写真。厳しい自然の中でひと時の美しさを放った瞬間をカメラが捕らえた。(写真 は鳥海山と朝もやの奥羽山脈)

●さて、「渡り」の話に戻る。トラックで出発した佐々木は、順調に進み14時間で目的地の三重県津市に到着。一方のパジェロミニの 藤原は、前半は順調に進むも、新潟でまさかのコースミス。東京方面にはいってしまう。幸いにも長岡で引き返し富山方面へ向かい、トラックに追いつくが、福井~滋賀県で急激な 眠気に襲われ、安全優先の「休み休み運転」モードに切り替える。結果、16時間かけて無事到着。

●安濃津農園のある三重県津市の景色も美し い。おおらかな中に安らぎを覚える風景だ。「渡り鳥農業」をライフスタイルにする私たちには、故郷が複数存在する。私たちの故郷は「日本」。多種多様なラ イフスタイルが受け入れられている現在、これからも日本の魅力を堪能し、そして情報を発信してゆく。

●秋田の地方紙「秋田さきがけ新聞」のコラムで「元祖爆笑王」さん(以下、元爆さん)のコラムを読んだ。「質問攻めにホクホク」と題したコラムの内容は次の通り。
●元爆さんの母校、五城目第一中学校に講演に呼ばれたときの体験談。世代のギャップを気にしながら行った公演の後に臨んだ質疑応答に緊張したが、その場で、多くの生徒が自発的に質問してきて嬉しかった。質問をあらかじめ決めていたのですかとの問いに「いいえ」と答えてくれた校長先生の能代工業時代にバスケットボールの一流プレイヤーであったことなどの人となりを紹介したものだった。
●元爆さんは、生徒からの質問が多かった理由として、講演した中学校では、放送業界を志望する生徒が多いことを挙げていた。
●このコラムを読んでハッとした。昨年と今年、大曲農業高校のイベントで、何人かの生産者の一人として農業の魅力を語る機会があった際、元爆さんの講演のように、自発的な質問を受ける機会がなくがっかりした経験が脳裏に浮かんだ。元爆さんの見方を借りると、農業界を志望する生徒が少ないということになる。
●秋田では就職先としての農業分野への人気が極端に低い。と、先日お会いした秋田にある人材紹介会社の社長が言っていたことを思い出す。全国的に見れば、農業への人気はそんなに悪くないと感じていたので、多様性から見た秋田県内の農業活性が低いことが影響しているのかもしれない。
●いや、私たち農業生産に関わるものの責任も大いにあると考える。先輩方に遠慮して、じっとねばり強く言われたことをこつこつこなしてゆく。そんな農業現場に未来はない。自分で考え、そして自分の責任で実践し、失敗し、そしてそこから成功へのヒントを見つけてゆく。そうした行動力、たゆまぬ努力と工夫があって、明るい未来の農業を創ってゆけるのだと思う。
●来月12月は、約一週間の期間で三重県にあるファーム*ジャグロンズ安濃津農園に、秋田から高校2年生のインターン生を受け入れる。生き別れた私の長男と同じ年齢だ。次の世代に何を伝えられるのか。楽しみであり、責任の重さを感じる。
●インターン生の受け入れの際は、「今の自分」という「機関車」に、「過去の経験」という「燃料」を燃やして、「未来」という「目的地」に向かって進んでいる私の生き様の表現形としての仕事現場を肌で感じて、ワクワク感を体験してもらう。先ずは、8つの県を縦走する秋田・三重間のジャグロンズの「渡り」イベントからインターン実習を開始する。日本列島を俯瞰し、研修生自身の今と将来を考えるいい機会になれば幸いである。

ANAボンバルディア機


セントレア


◆2017年4月20日津市なぎさ町から高速艇「フェニックス」でセントレア(中部国際空港)まで45分、14時45分にセントレアを離陸。16時すぎ、秋田空港に着陸。
◆「渡り鳥農業」今回の渡りの手段は「高速艇」と「飛行機」である。

秋田到着


年輪ピック?!と「金満」